酪農 |
2018.05.15 |
ホルスタインの尻尾の色は、黒白どっち? 意外と知らない牛柄模様のお話
ホルスタインは個体によって模様が異なり、その模様は一生変わらないことを知っていましたか?

ホルスタインの尾の先っぽが白いことを知っていましたか?

模様が赤と白のホルスタインがいることを知っていましたか?

「ホルスタイン」と聞いて、どんなことを連想しますか?
- 白黒の模様(斑紋)
- 牛乳
- ヨーグルト
- アイスクリーム
- 牛肉
- 北海道
- 牧草地
- 牛舎
- その他
- 特に何も思わない
0 25 50 75 100 %
好きなアニマル柄はありますか?
- ホルスタイン柄
- ヒョウ柄
- トラ柄
- ゼブラ柄
- ヘビ柄
- キリン柄
- その他
- アニマル柄が特に好きではない
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ホルスタインの尻尾の色は、黒白どっち? 意外と知らない牛柄模様のお話
「牛の絵を描いて」と言われた時、どんな牛を描きますか。
もしかしたら、大人から子どもまで多くの人が白黒模様の「ホルスタイン」を描くのではないでしょうか。
ホルスタインの白黒模様は牛柄とも呼ばれ、牛のイメージと深く結びついています。
今回はその特徴的な白黒模様の秘密をご紹介します。
■模様の形は一生変わらない、個体特有のもの!
私たちのよく知るホルスタインの白黒模様は「斑紋(はんもん)」といい、同じものは二つとありません。そして、生まれてから一生を終えるまでその柄が変わることはないのです。
ホルスタインの斑紋は、人間の指紋のような存在といえるでしょう。
「個体特有の柄」「一生柄が変わらない」ことから、斑紋は酪農の現場で個体識別に利用されています。健康管理や交配を行う際には、牛の個体をきちんと把握することがとても大切。そんな時、斑紋が大活躍してくれるのです。
また、酪農業界にはどういった牛なのかを証明するための「血統登録」制度があります。
これはその牛が「いつ生まれたのか」「どこで生まれたのか」、そして「どんな両親から生まれたのか」などを登録する、人間でいえば「戸籍登録」のようなもの。この血統登録を行う際、雄牛や一部の雌牛は斑紋の見取り図を提出しなくてはいけません。
日々の飼育や正式な登録など、斑紋が持つ役割はとても大きなものなのです。
■ホルスタインの尻尾の色、正解は……?
ホルスタインの血統登録においては、その斑紋が「正常な黒白斑」であるかどうかが重要になってきます。
「お腹が全て黒い」「尾の先っぽが全て黒い」「蹄冠部(足首部分)が黒毛で巻かれている」「赤や灰色の斑が混じっている」……実は、これらの特徴が見られる牛は全て「異常な黒白斑」とされます
かつて、異常な黒白斑とみなされた牛は「正式なホルスタイン」とは認定されず、血統登録を行うことができませんでした。なぜなら、他の品種の血が混ざっている可能性があると考えられていたからです。
しかし、その後認定が緩和され、現在では異常な黒白斑と判断された牛も、「OC(オフカラー)」と記載することで血統登録ができるようになりました。
ここで皆さん、「あれ?」と思われたかもしれません。
そう、尾の先っぽが全て黒いホルスタインは異常な黒白斑なのです。ホルスタインの絵を描く時、尻尾を黒く塗りつぶす方がいらっしゃるかもしれませんがそれは間違いで、ホルスタインの尻尾は基本的に白い色をしています。ぜひ、写真などで確認してみてくださいね。
■ホルスタインは黒と白だけじゃない!? 赤白模様の牛も!
牛柄模様といえば黒と白のイメージが強いですが、ホルスタインの中には「黒と白」ではなく「赤と白」の斑紋を持つものも存在します。これはかつて、ショートホーンという品種の牛を交配した名残りとのこと。
ショートホーンはイギリスを原産とする肉用牛で、世界三大肉用牛の一品種。明治初期に日本に輸入されたショートホーンは、肉用牛の交配に広く使われてきました。そして肉用牛だけではなくホルスタインに対しても、体を大きくし、肉質を良くする目的でショートホーンとの交配が行われたのです。
ショートホーンの毛色は赤茶色や赤白のまだら模様。この特徴がショートホーンの血を引くホルスタインに現れ、まれに赤と白の斑紋を持つ子牛が生まれます。
異常な黒白斑と同様、赤と白の斑紋もかつては正式なホルスタインとは認められず、血統登録を行うことができませんでしたが、現在では「RED(レッド)」と記載することで、血統登録を行うことができます。
私たちのよく知るホルスタインの模様は、牛の飼育やその牛のルーツを知るためにとても重要なものでした。
お子さんと一緒に牛の絵を描いてみて、もしお子さんが白黒模様の牛の尻尾を黒く塗りつぶしたら、本当の色を教えてあげてくださいね。
ライター名:高橋亜季